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とてもわかりやすい、
文章ノウハウ本、
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「何かを書きたいあなたへ」

何かを書きたいあなたへ
内藤みか
<プロローグ>
「何かを書きたい」
というあなたへ。
二十二歳の時に作家
デビューして以来、早
や十三年が経ちます。
六十冊もの著書に恵
まれているせいか、
または書いたケータ
イ小説が話題になり、
あちこちで取り上げて
いただいているからな
のか、
私のところには、毎
週のように、
「文章を書きたいんで
す」
という相談がありま
す。
それはメールで来る
ことが多いですが、手
紙をいただくこともあ
ります。
電話はあまりありま
せんが、直接お会いし
た時や、私自身の講演
会の席上でも尋ねられ
ます。
あるいは私が小器用
だから何かコツがある
と思って聞いてこられ
るのかもしれません。
私の本業は小説家で
すが、それ以外にもエ
ッセイやブログなどか
らも原稿料収入を得て
います。
単行本だけでなく、
雑誌やウェブそれから
ケータイなどにも文章
を発表していますし、
時にはカフェのコー
スターに自分の小説を
プリントするという面
白い企画を行うことも
あります。
昨日、私はとあるパ
ーティー会場で、三十
代の女性に、
「私も本を出したいん
ですけど、どうやって
出版まで持っていった
らいいのか、わからな
いんです」
と言われました。
どんなことを書きた
いんですか、と聞いて
みると、
「それが、よくわから
ないんです」
とのことでした。
え? 本を出したい
のに、書きたいものが
絞り込めてないの?
と皆さん驚かれるか
もしれませんが、実は、
私に寄せられる質問で
いちばん多いのが、こ
の、
『何を書いたらいいの
かわからない!』
ということなのです。
まず「本を出したい」
「モノカキになりたい」
という欲求が先に立っ
ていて
「何を書くか」とい
うことは、二の次なの
です。
じゃあ何か書いてる
の? と聞くと、
「いえ、まだ何も。
でも、本を出したくて」
と言うのです。
何を書いたらいいか
わからない、という
「何」には、二つあり
ます。
ひとつは「どんなテ
ーマを書いたらいいの
かわからない」という
こと。
恋愛小説なのか、サ
イコサスペンスなのか、
それともルポルタージ
ュなのか、
自分がどんな内容を
書きたいのかわからな
いといいます。
そしてもうひとつは
「どの表現形式で書い
たらいいかわからない」
ということです。
エッセイがいいか小
説がいいかはたまた脚
本がいいか、新聞記事
を書いたほうがいいの
か、
御自身が向いている
媒体もわからず、迷っ
ている方がとても多い
のです。
これは正直、残念な
ことです。
野球選手だって、素
振り練習もせずに、い
きなりホームランを打
つことはできません。
文章だって同じです。
書けば書くほどうまく
なるかというとそれは
わかりませんが、
毎日続けることは大
切だ、と言う方は多い
ですし、私もそう考え
ています。
実際、作家としてデ
ビューしてから十三年
間、何も書かなかった
日は、ありません。
もちろん独特の感性
があり、初めて書いた
原稿でいきなりデビュ
ーできた、という方も、
稀にいます。
でもそれはとてもレ
アなケースであり、
普通の方はやはり、
書いて書いて書いてう
まくなっていくものだ
と私は考えています。
けれど「何を書いて
いいかわからない」と
いう方は、堂々めぐり
がお上手です。
本を出版したい→
まずは何か書かなく
ちゃ→
でも何を書いたらい
いかわからない→
だけど本を出したい
→
だったらまずは書か
なくちゃ→
だけど何を書いたら
いいかわからない……。
結局、わからないま
まに、一ヶ月、二ヶ月、
ひどいときには何年も
一行も書けないままで
いる人がいます。
原稿用紙やワープロ
の前に座ることは座っ
ても、なかなか出だし
が書けずにいる人も、
大勢います。
でもこれでは時間も
才能も、あまりにもも
ったいないですよね。
そうこうしているう
ちに、あなたの人生は、
どんどん変化が起こっ
てきています。
素敵な恋をするかも
しれないし、時には誰
かの裏切りに涙するか
もしれません。
親の愛に感動したり、
社会の動きに失望した
り、
私たちは毎日、何か
を考え、何かを感じて
生きているのです。
毎日のように書きた
いことばかりが溜まっ
ていって、肝心の筆が
動かない、
なんてジレンマに襲
われている人も大勢い
るようです。
「毎日書くなんて、と
てもムリ!」
とおっしゃるかたは、
とても多いです。
けれど……。
プロになったら、毎
日原稿を書いていて、
当たり前なのです。
基本的にプロは毎日
書いて、毎日成長して
いると思っていて間違
いありません。
私なんて誰に命令さ
れなくても、自分から
毎日カタカタ原稿をパ
ソコンで入力していま
す。
なぜなら原稿を書く
のが大好きだから。こ
んな楽しいことはない、
と思っているからです。
プロの作家さんには
こういう書くのが何よ
りも好き、という方が、
大勢います。
あなたは、何も書か
ないままでいたら、プ
ロとの差も、開いてい
く一方なのです。
できるだけ早く、今
すぐにでも立ち上がっ
て何でもいいから書い
ていきましょう。
「でも、何を書いたら
いいかわからなくて…
…」
この本は、そんな堂
々巡りをしていて、書
くという第一歩を踏み
出したいのに踏み出せ
ずにいる、
そんなあなたのため
に、作りました。
文章を書くことを楽
しめるように、御紹介
しているつもりです。
この本を読み終えた
とき、あなたが「何を
書いたらいいか」が、
随分見えてきて、
楽しく「あなたらし
い」原稿を書き始めら
れるようになれていた
ら、私もとても、うれ
しいです。
二〇〇六年秋
内藤みか
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