いよいよケータイDL開始!

新潮ケータイ文庫にて
アクセス1日1万件、
累計70万件の
異例の大ヒット!

連載全80話に、
さらに20話書き下ろし、
衝撃のラストが、
あなたを待っている!

金がすべての男の子と、
借金まみれのお姉さんの、
鬼気迫る裸の攻防。

あなたはどこまで


ガマン、できる……?


新潮ケータイ文庫で 「彼に会った夜、彼が去った朝」連載中!

いじわるペニス 全国書店で発売中!
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いじわるペニス



    内藤みか



☆4☆



「初めて指を入れ
た時、小さくて、
気持ち良さそうな
アソコだなって思
ったんだよ」
 由紀哉はそう言
って目を細めなが
ら、私のヴァギナ
の中を、ゆっくり
掻き回してくる。
「よく濡れてるし、
絶対、いいよね」
 こねられている
うちに、また、愛
の雫が漏れていく。
由紀哉は、指を出
し入れし始めた。
ぴちゅぴちゅと蜜
が鳴る。
「ん……」
 私の腰が震えた。
さっき途中で終わ
ってしまったピス
トン運動が、せつ
なく思い起こされ
てくる。
 彼のが初めて入
った瞬間、なんて
ぴちぴちしていて、
いいおち○ち○な
んだろうと惚れ惚
れしたのに。
 由紀哉のペニス
は二十二歳らしく
雄々しく幹を張っ
て、その存在感を
ごりごり、と蜜壁
になすりつけてき
たのに。
「ああ、すごいね、
固い固い」
 私はたまらず彼
を抱きしめた。だ
けど、数往復する
うちにみるみるそ
の肉塊の元気は薄
れ、柔らかな頼り
ない棒となってし
まった。
 その、失望感を、
いったい何度、味
わってきたのだろ
う。多分、今日ま
でもう五回は"中
折れ"を味わって
いる。
 由紀哉のペニス
は、しゃぶってあ
げている時には、
天を向くほどに反
り返り、きりりと
身を引き締める。
 なのに、欲しい
欲しいと中に誘い
込むと、途端に萎
んでしまう。どう
してなのだろう。
私のアソコが好き
だと言っているく
せに。どうして、
萎えちゃうのだろ
う。
「ヌレヌレだね」
 由紀哉が指ピス
トンを繰り返して
いる。ペニスより
もずっと質量のな
いそれは、だけど
一所懸命私を歓ば
せようと、前後に
揺れている。
「あぁ……ッ」
 本当はもっと太
くて固い、彼自身
が欲しいのに……。
でも指を伸ばして
触れた彼のペニス
は、哀しいほどに
縮んでいて、申し
訳なさそうにやわ
やわとしている。
 対して由紀哉の
指はぴんと伸びて
いて、尖端だけが
くにくにと小刻み
に震え、膣壁を刺
激してくる。
「ああ……、好き」
 緩やかにエクス
タシーに襲われて
いく。
「俺も、咲希ちゃ
んが好き……」
 優しいこの指使
いと彼の囁きに、
いつも騙されてし
まう。
 でも、私が欲し
いのは、もっと違
うもののような気
がしてならなかっ
た。

 

☆5☆



「ああ、由紀哉」
 指先をぴちゅぴ
ちゅと鳴らしなが
ら、由紀哉の指が
二本三本と増えて
いく。
 もう一本の指は、
クリトリスをくす
ぐっている。そし
てもう一本の指は
……。
「あぁ、そこは、
ダメなのに」
 アナルの入り口
をつんつんと、つ
ついてくる。そん
なところは、汚い
し、ダメ。と身を
捩っても、彼の指
が、何度もそこを
ノックする。
 そのたびに、お
尻が、刺激でひく
ひくとした。下半
身が震えると、彼
の指が当たってい
るクリトリスにも
微妙な振動が伝わ
ってくる。
「ああぁ……」
 いくつもの快感
が混じり合って、
私の中で、ひとつ
の甘いうねりにな
っていく。
 由紀哉もそれを
察しているのだろ
う、指の動きが一
層激しくなる。
 彼の指が私のヴ
ァギナの中を、奥
に、そして入り口
に、何度も往復し
ている。
(ああ、おち○ち
○みたい)
 知らずに腰が動
いていた。
「ああ、好き好き、
好き」
 下半身全体が痺
れ、びくん、びく
ん、と何度も快感
の波を浴びる。
 また、こうして
指で、イかされて
しまった。イッた
後、たまらなくせ
つなくなる。
 私が本当に欲し
いのは、由紀哉の、
ペニスなのに。彼
に、私の中で射精
してもらいたいの
に。
 男ならば誰でも、
愛する女に自分の
種を残したい、と
いう本能があるか
と思うのに。
由紀哉は、一度も
射精してくれたこ
とがない。
 まるで私たちの
関係が同性愛で、
命の素を注ぎ込む
必要すらないかの
ように。
 ものすごく遅漏
で、なかなかイか
ないし、最近勃ち
も悪いんだよ。ス
トレス溜まってん
のかな。彼は言い
訳のように、気ま
ずい交わりの後で
繰り返す。
 本当にインポテ
ンツで射精にも苦
労しているのだと
したら、それは、
あんまり責めては
いけないと思った。
ストレスが原因だ
としたら、一緒に
原因を考えてあげ
たいとも思った。
 だけど……。
 一抹の不安が過
ぎる。
 ひょっとしたら、
彼が勃起しないの
は、私に対してだ
けなんじゃないの?
 怖いからずっと
聞けずにいた。
 でも今夜はどう
にもやるせなくて、
思わず口を開いた。
「ねえ、他の女の
子とセックスする
時は、ちゃんと射
精、できてるの?
」



☆6☆




 由紀哉は何秒か
考えていた。何て
答えればこのお客
さんは満足してく
れるのだろうか、
と計算しているか
のようで、辛かっ
た。
「……最近、女の
子としてないから、
わかんないよ」
 思考した挙げ句
の答えは、これだ
った。嘘なんだろ
うなあ、と思った。
 綺麗なきりりと
した顔立ち。どこ
か負けず嫌いそう
な意思が強そうな
瞳。それでいて優
しそうなおっとり
としたムードと話
し方。このアンバ
ランスさが、女の
子にモテないわけ
がない。
 でも、これ以上
追及するのは可哀
想な気がして、や
めた。
「……そろそろ、
出なくちゃ」
 ラブホテルのテ
ーブルの上に置か
れた携帯電話を覗
き見て、由紀哉が
呟いた。もう、朝
の十時近い。
 私は由紀哉をい
つもロングで買っ
ていた。夜の十時
から朝の十時まで、
三万円。由紀哉は
決してそれ以上の
時間を、私と一緒
にいようとはしな
い。
 ウリセンボーイ
は本来、ゲイ男性
が一夜の相手をチ
ョイスする場所だ。
私がこの店を知っ
たのは、ホステス
をかけもちしてい
る同僚の綾乃から
だった。一年前の
ことだ。
 その前の年から
私は、派遣されて
いた通信会社のデ
ータ処理に追われ
ていた。吸収合併
を目前に控え、様
々なデータを統一
させなくてはなら
ず、毎日毎日何時
間もパソコンの前
に向かっていた。
 その前は普通に
商社で事務をして
いたのだけれど、
三年も付き合って
いた同僚の彼に振
られて、会社を辞
めた。そろそろプ
ロポーズしてもら
えるかな、と思っ
ていたのに。
 彼が他の女と婚
約したのだ。しか
も、同じ会社で、
私と毎日顔を付き
合わせているおと
なしめの女だった。
さらに彼女は妊娠
していた。しばら
くの間、周囲から
浴びせられた同情
という名の暴力的
な視線が今でも忘
れられない。
 あの時から、私
は、普通の恋愛と
いうものから、な
るべく遠去かるよ
うに、生きている。
恋することがこわ
い。だから恋愛を
する暇を、わざと
失った。でも時々
一緒に遊んでくれ
るボーイフレンド
が欲しい……。
そうぼやいた私に、
彼女が、出張ホス
トみたいなのが二
丁目にあるんだ。
ゲイのお客さんに
一度連れてっても
らったんだよ、と
教えてくれたのだ。
 ウリセンとは、
店の中にたむろし
ている男の子の中
で、好きなのを選
び"お持ち帰り"で
きる場所だという。
「普通は女は入れ
ないんだけど、私、
マスターと友達に
なって、いつでも
来ていいよ、と言
われてるし」
遊ぼ遊ぼ、と彼女
に半ば強引に連れ
ていかれた。
 ただの小ぎれい
な広めのスナック。
大きなカウンター。
それから数セット
のソファとテーブ
ル……。
 そして私は、息
をのんだ。
 ウリセンバーの
カウンターの中に
は、十人以上の男
の子が並んでいた。
退屈そうな顔をし
ていた。けれど、
私達女二人の姿を
認めた途端、急に
目を見開いた。
 わけがわからな
かった。男の子達
の視線が集中して、
顔が熱く火照った。
だから、最初に目
が合った男の子を
選んだ。大急ぎで
財布の中から三万
円を取り出し、マ
スターに渡した。




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