惚れたオトコが
できたなら
別れにゃならねぇ
ダンナとは……!?

「何も聞かずに、  別れてください!」

他に好きな男性ができた妻達を書いた、スリリングな離婚エッセイ!

離婚実況エッセイ
「離婚の影にオトコあり」
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「離婚の影にオトコあ
り」

     内藤みか





    <はじめに>





 離婚の影にオトコあ
り。
 このタイトルを見て、
ドキッとしたバツイチ
女性や離婚予備軍女性
は、少なくないだろう
と思う。
 実は『タイトル買い』
してくれる方もいるの
ではないか、とひそか
に期待しているほどだ。

 時代の流れなのか、
それとも類が友を呼ぶ
のか、もしくはマスコ
ミ業界だから離婚率が
高いのか、私の周囲に
はバツイチ女性が多い。
  まあ近ごろは三〜四
組に一組が離婚するよ
うな時代だから、数人
の三十路女性がいたら、
そのうちのひとりに離
婚歴があっても、統計
的には全然おかしくは
ないのだろうけれど。

 離婚にはさまざまな
シチュエーションがあ
るけれど、最近は、奥
さんのほうが離婚を切
り出す事例が増えてき
た気がする。
 そして、離婚を言い
渡す妻の影には、かな
りの確率で男の存在が
ある。
 “影”は本当なら
“陰”と書くべきとこ
ろかもしれない。
 けれど辞書をひくと
“影”とは“光とは反
対側にできるもの”と
ある。
 一見幸せそうな結婚
生活の反対側で、妻た
ちが考えていることを
この本では書いている
ので、
 あえて“影”という
漢字を選んでいる。

 こんな例がある。
 ある日、妻に「離婚
したいの」と切り出さ
れた……。
「突然何を言うんだ、
話し合おう」
 慌ててそう言ったと
ころで彼女は首を縦に
振らず、
「お互いの人生の発展
のために別れましょう」

 などときれいごとを
言われ、わけのわから
ないまま離婚届に印を
押した。
 そして、後から知っ
たのだけれど、妻には
オトコがいて、
 彼と再婚したいから、
離婚を迫っていたのだ
った……。

 あるいはこんな例も
ある。
 ある日、家に帰った
ら、妻の荷物がごっそ
りなくなっていた……。

 テーブルの上には妻
の印が押された離婚届
だけが残っていた。
 慌てて妻の行方を探
したら、見知らぬオト
コと親し気にしていた
……。

 そんな目に遭ったら、
あなたはどうするだろ
うか。
「うちは絶対そんなこ
とはない!」
 と言い切れるだろう
か。
 現に私のまわりで二
件も、妻がある日突然
姿を消す、という事件
が起きている。
 そしてビックリする
のだけれど、ご主人は
そうなるまで、妻の変
化に何も気づいていな
かったのだ。

 私自身も、かなり唐
突に夫に「離婚したい
の」と切り出した。
 しかも私の場合は強
烈で、一度目の離婚は

「好きな人ができたか
ら、離婚する」

 だった(ちなみにそ
の人には片思いで、そ
の彼とは手もつないで
いなかった)。

 しかし、私みたいな
バカ正直者は数少ない。
 多くの奥さんは、好
きな人がいても、その
存在について、頑なに
口を閉ざす。
 余計なもめ事を起こ
したくないから黙って
いるというもある。
 他の男の存在を知ら
れたら、逆上したご主
人に刺されかねないし、
その男性にも迷惑がか
かってしまう。
 それから浮気がバレ
たら、離婚の時に慰謝
料を請求されかねない。
 とはいえ浮気相手の
存在なんて、バレない
で済むなら、バレない
ほうがいいに決まって
いる。
 実際、よその奥さん
達は本当に上手に立ち
回り、男の存在など微
塵も疑われずに首尾よ
く離婚できた人も多い。

 これはしかし、端か
ら見ていて、あまりに
もご主人がおばかさん
というかお気の毒であ
る。
 晴天の霹靂のごとく、
離縁を言い渡され、心
底驚いているご主人を
何人も見てきた。
 私のモトダンも、二
度とも泣いて、

 「全然わからなかっ
た。なんでこんなこと
になったんだ。別れた
くない」

 と私にすがりついて
きた。でもそんな姿を
見たらさらに、幻滅し
て別れたくなった。
 というかどうしてこ
んなことになるまで気
づいてくれなかったの
よ、と思った。
 何度も何度もサイン
を送ったのに。
 なんでここまで私の
気持ちが離れるまで、
気づいてくれなかった
のよ、と。
 女のほうは、何度も
メッセージを送ってい
たつもりでも男のほう
は、まるで気づいてい
ない。
 だから突然の宣告を
受けて泣く男が出る。
 それってもちろんご
主人があんまり奥さん
に関心を持っていなか
ったせいでもある。
 どんなサインだよ、
わからないよそれ、と
嘆く男性陣の声を聞い
ていて、

『女性のほうがどんな
風に他の男性に気持ち
が揺らぎ、離婚へと気
持ちを固めていったの
か』

 という本の必要性を
感じてしまった。
 女性は不機嫌になれ
ばなるほど、その理由
を男性に説明しようと
はしない。
 離婚なんて秘密めい
た儀式みたいな感じに
なってしまうこともあ
る。
 でもそのウラには、
本当は気づいてほしい、
という淋しい女心が見
え隠れしている。
 ひょっとして、もっ
とお互いに分かりあえ
ていたら。
 傷が浅いうちにご主
人が気配に気づいてい
たら。
 離婚しなくても済ん
だ夫婦って、たくさん
いるのではないだろう
か……。

 コミュニケーション
が不足がちと言われて
いる現代では、
 ケンカのあとの仲直
りも、同じ屋根の下に
暮らす相手に対してで
さえ、メールで済ます
夫婦がいる。
 お互いのことをよく
理解すれば、防げる離
婚というのも、あるの
かもしれない。

 離婚した女性達のこ
とでエッセイを書いて
みないか、
 と二見書房の編集の
米田さんに言っていた
だいた時、
 私はひょっとしたら
この世に必要な本なの
かもしれない、と感じ
た。
 だから、私の周囲に
いた離婚の影にオトコ
ありな女性の実例を、
なるべくありのままに
綴ってみようと考えた。
 女性の側からすれば
当たり前の感情の動き
や行動も、男性側から
すれば仰天の連続なの
かもしれない。
 多少なりとも夫婦円
満のお役に立てたらと
思い、

 “奥さんがこんな状
態になったら要注意!
”

 というポイントもコ
ラムで展開させていた
だいている。
 もちろん女性にも一
緒になっていろいろ考
えていただける本にし
ようと思って書いてき
たつもりだ。
 モニタとして何人か
のバツイチの女性達に
この本の原稿を読んで
もらったのだけれど、
自分以外のよその奥さ
んが、どんな風にして
離婚に至ったのかがす
ごく気になっていたか
ら、
 それを知ることがで
きてよかった、と言わ
れて、それが書き進め
ていくうえでの大きな
励みになった。

 実際「オトコがいる」
といっても、相思相愛
の人のほうが少ない気
がする。
 せつない片思いをし
ている人もいれば、男
を手玉に取っている人
もいる。
 私のように商売男に
貢ぎやすい人もいるし、
男に弄ばれたり騙され
たりしている人だって
いる。
 むしろ辛い状態で、
心の中に“夫ではない
オトコ”を住まわせて
いる人のほうが多いか
もしれない。

 たとえ身体の関係が
あったり、離婚したら
一緒になろうねと口約
束をしていたとしても、
大抵は別れてしまう。

 離婚した時に交際し
ていた男性と結ばれる
ほうが圧倒的に私の周
囲では少ないし、
 離婚した途端、相手
が逃げ腰になったり、
音信不通になったりと、
散々な目に遭うことも
ある。
 それなのに離婚の影
にオトコがいた女性達
は口を揃えて、

「あの時、あのオトコ
がいて、ほんとうによ
かった」

 と言う。
 それはどうしてなの
か……。
 その答は、これから
出てくる、私を含む離
婚女性達の離婚の風景
を読んでいただければ、
見えてくると思う。



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