離婚即、復縁!
たった3週間で
ヨリを戻した、
嵐のような、
大離婚騒動期。

直感で速攻行動の
あほんだら官能作家、
内藤みかの暴走に、
大爆笑して、そして、
ちょっぴりホロリ。

離婚する前に。
離婚した後に。

そして
離婚なんて
想像もつかないあなたに。

離婚という
(個人にとっては)
壮大なドラマ!
ぜひお読みください!

なんと解説は、
だめんずうぉ〜か〜の
倉田真由美さんです。


2月10日、
幻冬舎文庫となって、
全国書店で発売!

同じ幻冬舎文庫の
奥様は官能小説家も
立ち読みできます☆



目次
第1章 あんたなんかいらない
第2章 二度と顔も見たくない
第3章 私、バカかもしれない
第4章 ただいま帰りました
第5章 もう終わりかもしれない
第6章 結構いい経験したよね 


※もっと詳しい目次が
このページの
最後にあります。


別れても、バカな人

    内藤みか



<プロローグ>


【はじめに】

 これは、私こと
官能作家内藤みか
の離婚顛末記であ
る。

 私は、女流官能
小説を書き連ねて
いる変態としては
プロな女であるが、
主婦としてはアマ
アマであった。何
しろ、結婚生活す
らまともに送るこ
とが、できなかっ
たのだから……。

 そもそもできち
ゃった結婚をして
しまったので、出
だしからしてだら
しがない。その後
は姑にイビられ、
親戚にも冷淡に扱
われ、育児にも自
信が持てず、社宅
ではママ友達もで
きず、夫からは殴
られ、しまいには
ココロが壊れ、ノ
イローゼになり…
…と、私の結婚は、
果てしなく暗い出
来事の連続だった。
 
 そんな時、救世
主のように現れた
爽やかな男に私は
一目惚れし、夫の
ことなどもうどう
でもよくなって、
結婚四年目にして
衝動的に離婚届を
出してしまった。

そして社宅を飛び
出し、意気揚々と
母子家庭として再
出発するつもりだ
ったのだが……。

 結局夫が恋しく
なり、ひと月もた
たないうちに社宅
に舞い戻り、無理
矢理に復縁を迫る
という暴挙に出た
のである。迫られ
た夫は冗談じゃな
いと逃げ回ったの
だけれど……。

……もうこれ以上
はこの前書きでは
語るまい。あまり
にも恥ずかしい出
来事続きだったの
で、私の胸の中に
永遠に封印してお
こうかとも思って
いたのだが、物書
きのサガで、つい
つい、書いてしま
った。

 なぜ書いてしま
ったかというと、
こんなおバカな離
婚をしでかしたの
は私だけかと思っ
ていたのだが、ど
うも近頃はそうで
もないようだから
である。

 私の周囲でもし
ょうもないような
ことをしでかし離
婚話に至っている
奥様が増えてきて
いる。最早ネット
不倫など、全然珍
しくない。私のと
ころにくる主婦か
らのメールのほと
んどに『私は今、
恋愛しています。
あ、私は結婚して
いて主婦なんです
けど』と書かれて
もいる。今、主婦
の大暴走が始まっ
ているのだ。

 人妻は長いこと
恋をしていないの
で、恋愛に非常に
脆い生き物だ。そ
のためネットでちょ
っと優しくされた
だけですぐに舞い
上がり、夫や子供
まで捨ててどこか
に行ってしまう。
そしてこの私だっ
て、危うくそうな
ったかもしれなか
った。

 本当は誰にも内
緒にしておきたい
くらい情けない話
のオンパレードを
ここに書き綴る決
意をしたのは、こ
うしたトホホな実
例もある、という
ことを晒さなくて
はいけないという
使命を感じたから
である。

 よくTVなどで
芸能人が離婚会見
を開いている。
『彼のことはすっ
ぱり忘れ、これか
らはひとりで強く
生きていきます』

 みたいなことを、
涙を含んだ瞳で凛
々しく微笑みなが
ら宣言している。
私達女が抱く離婚
のビジュアルイメ
ージは、これら女
性タレントの毅然
とした態度だった
りしやしないだろ
うか。そして多く
の女性が、私だっ
てああやって独り
で生きていってや
るわ、と無謀な離
婚を試みて、全然
うまく行かなくて
藻掻いていやしな
いだろうか。


 そう、私は、
「テレビと違う〜、
こんなにドロドロ
でダメダメだなん
て聞いてない〜ッ!
」
 と離婚してから
悲鳴を上げたひと
りである。 実際
の離婚というのは、
こんなに簡単なこ
とではない。その
あまりの辛さに悲
鳴をあげて、私の
ように夫の元にユ
ーターンする軽は
ずみ妻も、かなり
の数いるらしい。

しかし、お分かり
だとは思うが、再
婚に辿り着くとい
うことは、離婚す
るよりも、もっと
ずっと大変なこと
だし、第一、もの
すごく恥ずかしい。

 芸能人の離婚手
記はきれいなこと
ばかりしか書いて
はいない。だから
こそ私は、ぐっち
ゃぐちゃでハプニ
ングの連続で大騒
ぎばかりしていた
私のどうしようも
ない離婚話をどこ
かに書き、

「ここにこんなに
バカがいます」

 と知らしめてお
く必要を感じたの
だ。

 離婚なんて実際、
全然カッコいいこ
とではないのだか
ら。

 ネット上の恋に
燃え上がっている
すべての奥さんに、
この本を読んでい
ただき、
「ヤダぁ、私は違
うわ、こんなにお
バカじゃないもの。
でも……ひょっと
したら……」
 とすこーしでい
い。何かに気づい
ていただけたら…
…。すごく、嬉し
い。

 かなり多くのネ
ット不倫妻は、夫
と向き合うことが
イヤで、他の男性
に逃げ道を探そう
としている。けれ
ども、夫との関係
はなぜ壊れてしま
ったのか、それを
よくよく見直さな
ければまた同じト
ラブルを繰り返し
てしまう。すでに
バツイチどころか
バツニの女性も増
え始めている。無
謀な離婚を起こす
前に、この本を読
み「こいつみたい
なバカなことをし
たくない」と思い
直してくださる奥
さんが出てきたら、
本望だ。

 そしてネット不
倫妻じゃない方に
は、ただのアホ女
の大立ち回り記と
して爆笑しながら
読んでいただきた
い。しかし、爆笑
しつつも、この世
にはどうやらこう
したしょうもない
奥さんが増殖しつ
つあるのかもしれ
ない、とふと感じ
ていただけたら、
幸いである。



【プロローグ】



 あの男のところ
に逃げよう。

 そう私が決意し
たのは、一九九八
年十月の始めだっ
た。私は結婚四年
目の秋を迎えてい
た。夫とは会って
一年で入籍したの
で実際には二人の
関係は五年目を迎
えていたことにな
る。

 夫と知り合った
当初、話題になっ
ていた本『愛はな
ぜ終わるのか』
(ヘレンEフィッ
シャー・草思社)
という本を読んだ
ことがあった。た
った四年で私達は
終わるわけない、
一生添い遂げてや
る、とその時誓っ
たのに。実際に四
年を経過した今、
離婚で頭がいっぱ
いになっている自
分に気づいた。や
っぱりあの本はス
ゴイ、と私は感心
しながら夜道を急
いでいた。

 私と同じ二十七
歳の夫と二歳の息
子を家におき、本
屋に行くと言い残
して私は家を出た。
夜の十時だった。

 ここのところ毎
日のように本屋に
通っている妻を、
彼はおかしいとは
思わなかったのだ
ろうか。もう私の
行動などに、関心
もなかったのかも
しれない。私の行
き先は、確かに本
屋だった。駅前の
コンビニエンスス
トアを兼ねている
小さな書店スペー
スに毎日詣でてい
た。

 私は恋をしてい
た。相手は同じ駅
に住む男だった。
六月にあった出版
系の名刺交換会に
行った時、ささッ
と私の前に現れ、
名刺を渡してくれ
た神野良明は、大
手通信会社に第二
新卒で四月に入社
したばかりの男で、
私より三つ若い二
十五歳だった。出
版とは全然関係な
い仕事をしている
のだが、興味があ
ったからというそ
れだけの理由で彼
は出版社勤務の友
人と共にパーティ
ー会場にいた。

 良明とは八月末
にもこの本屋で遭
遇していた。その
時私は二歳の息子
と一緒だった。彼
は何となく残念そ
うに、

「同じ駅なんだし
今度一緒に飲みま
しょうよ」 とだ
け言った。

 この時ほど、子
持ちであることを
悔やんだ瞬間はな
い。子供が一緒に
いさえしなければ、
私は彼の誘いに乗
ってお酒を飲みに
行っただろう。そ
して流されるまま
に彼に抱いてもら
えたかもしれない。

 あの日以来、私
はもう一度チャン
スが欲しくて、毎
日のように本屋詣
でを続けていた。

偶然を装ってもう
一度良明に会いた
いがために、夫が
家に帰ってきたら、
ささっと息子を押
しつけ、息抜きと
称して外に出てい
った。そして小一
時間、彼を探して
狭い店内をうろう
ろしていた。手に
した雑誌など全然
頭に入らず入り口
のドアが開くたび
にぎろぎろとそち
らを注視していた
私は、すごくおか
しな客だったかも
しれない。そして
こんなに毎日のよ
うに通ったのに、
うまくタイミング
が合わないのか、
彼には全然会えな
かった。

 良明は夫にない
ものをたくさん持
ち合わせていた。
さっぱりとしてい
る明るい性格で、
すべてに好奇心旺
盛で、行動力もあ
り、友達が大勢い
た。何より水泳を
しているという筋
肉質の身体が逞し
く、広い肩幅と太
い眉と大きな瞳と
日焼けした肌がセ
クシーだった。

 毎日のように
「これは燃えない
ゴミだろ?ちゃん
と分別しろよ」と
ゴミ箱を漁っては
私を叱ってくる夫
と対照的に彼は光
り輝く世界にいる
気がした。そして
彼と恋愛すれば、
私も同じ光を浴び
れるような気がし
ていた。

 友達も数えるほ
どしかおらず、週
末といえばゴロゴ
ロ寝てTVゲーム
をしているだけの
覇気のない夫、何
にも興味を示さず
子供と遊んであげ
たりもしないネク
ラでオタクな夫。

こんな男と一緒に
いたら、私自身朽
ちていくばかりだ
と感じていた。私
は、私を連れだし
てくれる存在を待
っていた。それが、
良明だと強く思い
込んでいた。彼と
はもう一ヶ月以上
会っていなかった
が、良明のことを
想うとドキドキし
てどうしようもな
かった。私の本当
の人生は彼と共に
ある、と信じたか
った。

 もらった名刺は
彼の自宅のもので、
携帯のナンバーも
プリントされてあ
った。毎日お守り
のようにお財布に
入れて持ち歩いて
いたそれを握りし
め、私は電話ボッ
クスの中に入った。

 テレフォンカー
ドを差し込もうと
したが、手が震え
て落としてしまっ
た。拾い上げよう
として、臑に目が
行った。五百円玉
大の青い痣が数個、
痛そうに剥き出し
になっている。昨
夜キッチンの隅で、
夫に何度も蹴られ
たことを思い出し
た。皿洗い用のス
ポンジを、彼に無
断で新品に変えた
ことに腹を立てら
れてしまったのだ。

前と同じスコッチ
ブライトを買って
きたのに、
「新品だと固くて
使いづらいんだよ
ッ!」
 と彼は怒鳴った。

「どうして怒るの。
新しいものに代え
てあげたのに」
 私は泣いた。黒
くなってくたびれ
ていたから、善意
で交換しただけだ
ったのに、なぜ罵
倒されているのか、
わからなかった。

「押しつけがまし
いことすんなッ!
」
 彼は何度も何度
も蹴った。皿洗い
という彼の仕事に
彼は誇りを持って
いた。だから私は
聖域を侵した盗人
のように打ち据え
られた。彼は逃げ
ようと一歩退こう
とするとその足を
狙って蹴ってきた。

 惨めな記憶が蘇
ってきて私の心を
曇らせる。 けれ
ど、こんな辛い思
いは、もうすぐ、
終わりを迎えるは
ずなのだ。

 私はカードを差
し込み、良明の携
帯ナンバーをダイ
ヤルした。今夜こ
そは、彼に、
「会いたいの」
 と告げるつもり
だった。

 そして私の結婚
生活の苦しさを全
部、打ち明けるつ
もりでいた。良明
と人生をやり直す
ために……。





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くわしい目次
<<<別れても、バカな人(仮)>>>
              内藤みか

【はじめに】

【プロローグ】

【第一章・あんたなんかいらない】

●離婚届
●私達は愛し合っていた……
●殴りだした彼
●姑という破壊者
●看病疲れ
●初めての電話
●秘密のデート
●離婚相談


【第二章・二度と顔も見たくない】

●誰も引き止めなかった
●バツイチマザーの家探し
●バツイチ男の家探し
●バツイチ女の引越
●最後のディズニーランド
●実父との対決
●男が来た部屋
●バツイチ女の貞操

【第三章・私、バカかもしれない】
●報告
●だんまりになった息子
●告白
●逃がした魚
●人生最大のUターン


【第四章・ただいま帰りました】
●不能の夫
●遠距離チャット
●旅する夫
●バツイチ男の引っ越し
●バツイチ女の男探し
●夫のデート
●クリスマスの奇跡

【第五章・もう終わりかもしれない】
●両親とひともめ
●会社でも一騒動
●再暴力
●夫の治療
●夫婦で治療
●またふたたび姑との対決
●カウンセリング被害


【第六章・結構いい経験したよね】
●再入籍
●果たして暴力はなくなったか
●離婚を知らないママ友達
●そして今。

【エピローグ】
【文庫版あとがき】
【解説・くらたまこと倉田真由美さん】

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